闇の塔 九

 
     第四章  暁 闇 

                                       八より


 自室として与えられた一間で、揺玉はもの思いに沈んでいた。 
 細い指の間で、紅色の花がくるくると回る。髪に挿されたときには鮮やかな色合いであった花が、今はしおれ、黒ずんで見える。
 同じように、揺玉の心もしおれている。所詮は異なる世界の住人。そう、蒼牙に告げられた言葉が、胸に重かった。
 ――少しは、わたしのことを想ってくれている。そう思ったのは、誤りだったのだろうか。
 だとしたら、
 ――なぜ、わたしを救った。命を懸けてまで。

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浣花洗剣録 二次小説 永遠へ  -脱塵-

 愛しい木郎あなた
 許してとは言わないわ。
 わたしにはこれしかすべがない。
 あなたの魂を解き放ち、わたしたちが共に救われるためには、これしか方法がないのだもの。

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浣花洗剣録 最終週

はぁっ。
終わってしまいました。
これから、DVDが発売される5月末までどうやって過ごそ?
とか言わないために『剣侠情縁』とか『詠春』とか、買ってあるんですけどね(^▽^;)

さて。いよいよクライマックスを迎えました『浣花洗剣録』ですが……

20-1

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『浣花洗剣録』二次小説   変わらぬもの  

不可能莫迦な 我不会相信信じられない
 ただ二言に一切を――母だという人のすがるような眸をも切り捨てて、大臧は部屋を後にする。
 自室として使っている一間に戻ると、
「大臧?」
 どうしたの何があったのと問いかける珠児に、煩わしげに頭を振って卓の前に座る。そこでようやく、常にない強さで刀の鞘を握り締めていたことに気付いた。

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闇の塔 八

 
  第三章  母子   承前



 そうして――。
 今日も森は、常と変わらぬ穏やかな明るさに満ちていた。
 時折、小鳥のさえずりが聞こえ、小動物が枝を駆け回る姿も見える。そよ風に名も知らぬ小さな花が揺れている。
 木洩れ陽を浴びて、木の間隠れの細道を辿る蒼牙の足取りは、この数日でかなり確かなものになってきたとはいえ、常の、異名の狼か猫科の獣を思わせるしなやかさは、まだ取り戻せてはいなかった。
じょう公子!」
 高い声に視線を向けると、揺玉と連れ立った絳花こうかが、大きく手を振っているのが見えた。二人ともが襦裙じゅくん姿で、籠を手にしている。
 なにやら盛んにかぶりを振る揺玉を、蒼牙のほうへ押しやるようにすると、ぺこりと大きく頭を下げ、絳花は向こうへ駆けていってしまう。どうやら、気を利かせたつもりらしい。

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『浣花洗剣録』二次小説  恋唄

  二月に龍が首もたげ 三姐は髪結って彩楼やぐらに上がる 
  王孫公子が居並ぶ前で 平貴ピンコイに当たった赤い鞠


 川の畔、洗濯をする珠児の喉から、歌が流れ出る。
 棒を使う手が、拍子に合わせて自然に軽快なものなる。
 空は抜けるような青空。陽射しは、動いていると少し汗ばむが、強からず弱からず。こんな気持ちのいい日には、自然に歌も飛び出そうというものだ。
 歌詞も節もうろ覚えだが、誰に聞かせるわけでもないからかまわない。仮に少々調子が外れていようが、高い所で声が裏返ろうが――
 と、次の洗濯物を取り上げ、何気に顔を上げた拍子、目元にだけ微かに笑みを浮かべてこちらを見ていた青年とまともに視線が合って、思わず赤面した。

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浣花洗剣録 第19週

今日はお天気がいいなぁと思いつつ出かけたら、何やら時間限定場所限定で、矢鱈と風が強かったようで……
『いつきの里』の駐車場から建物への往復、吹き飛ばされるかと思った(^▽^;)

さて。今回の浣花洗剣録は……

norikomi



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きんきょー(近況ですって ヾ(~O~;)

3つか4つ分くらい記事があるので、ひとまとめで ヾ(^o^;)

1、週3日勤務

なんか、期末の調整とかで目下仕事の量が激減で、
まあ、正規の仕事の他にも、社長が色々と取って来てはおられるんですが、祭日やらなにやらの関係もあって、2月に入ってからはパート組は週3日勤務。
なので、普通はお仕事の合間に休日があるんですが、今の状態は、休日の合間に、ちょろっと職場に顔を出すという感じ。
で、こういう状況というのは、意識がなかなかお仕事モードに切り替わってくれなくて、きっついです(^▽^;)
しかも、意識の半分くらいが、架空中国明代の、どこかの小さな尼寺の近辺をウロウロしている現在においては(笑)


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『浣花洗剣録』二次小説  我愛你 -独白-

「わたしのこと好き?」
 君が訊いた時、俺は戸惑ってしまって答えられなかった。
 勿論、答えられなかった理由は、君の表情を曇らせたように、君を好いていないからじゃない。今更訊かれるとは思わなかった ―― 俺の想いは、もう十分に伝わっていると思い込んでいたからだ。
 女性というものが ―― これは君に限ってのことなのだろうか ―― 言葉を必要とするものだなど、男の俺には分かるはずもない。
 まして ――
 君の俺への想いは訊くまでもなく十分以上に伝わっていた。だから、君も同じだと思い込んでいた。

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浣花洗剣録 第18週

目下、わたしの知る範囲では、限定2箇所約3名で方宝玉の悪口大会が開催されておりますが――って、事実に感想を交えて書いていったらごく自然にそうなったので、これはひとえに宝玉本人の不徳のいたす所なわけですが、
ここへ来て思ったの、宝玉って、もう一人の主人公といいながら、実は大臧を引き立てるために設定されたキャラなんじゃないでしょうか。
とにかく、何から何まで対照的で、おまけに宝玉が何かバカをやらかすたびに、それに引き換え兄ちゃんは――と思っちゃうんですもん。


さて。今回のその宝玉のバカ――もとい、『浣花洗剣録』は――


18-1

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闇の塔  七

 
     第三章  母子

                                       6より



 〈ひつ〉には神殿が無い。璞煌星はく・こうせいが国主となって数年のうちに、その殆どが全きまでに破壊し尽くされている。神職者たちも、あるものは追放、また、より多くのものが冥塔に投じられたという。頑として神殿を去ることを拒み、いずれ天からの罰が下されようと煌星を糾弾した神殿長が、建物とともに焼き殺されたという噂も、巷間には伝わっていた。
 ここ、城都の北の森の奥深く、幾重もの緑に守られて建つ、青月宮と名づけられた神殿を除けば。
 しかし、こことても詣でる者はもとより、神官、巫女の姿も既になく、壁の浮き彫りもひび割れ、蔦が這い、多くの房は時の侵食に任せられている。
 それでもここが他の神殿のような蹂躙じゅうりんを免れているのは、ひと組の少年少女にかしづかれて、ひっそりとこの場に暮らす佳人のゆえであったろうか。

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浣花洗剣録 第17週

節分でした。
お昼を買いにスーパーへ行ったら、恵方巻きが山と並んでいて、それで気がつきました。
なんだかこう、こういう世間一般の風習と、だんだん離れてゆくような……
やばい、やばい(^▽^;)

さて。今回の『浣花洗剣禄』は……

17-1

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浣花洗剣録イメージイラスト -鳥ー

鳥

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読書メーター 1月のまとめ

ここ何十年来で一番、本を読まない生活を送っています。
(その分、DVDの鑑賞と、昔書いた小説の手直しとかになってるわけなんですけどね)

てことで、脳が軽い読み物を求めるのか……
今回読みきったの、ほとんどマンガばっかだな~(^▽^;)

他にもチラホラ、参考資料本みたいなのは見てるんですがね……

さて。

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プロフィール

rei★azumi

Author:rei★azumi
ヒト属ネコ科 コタツ猫亜種 読書ネコ
『神鵰侠侶』で金庸にハマった、金庸初心者。
とりあえず、金庸の小説全作品読破を目指すも、突如神鵰侠侶二次小説にハマる。
さて、この先、どうなりますことやら。

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