2008/11/29 (Sat) 神鵰二次小説  鬼嘯(きしょう)  前編

 くらをした男性ひとだった。
 どこか寂しげな男性ひとだった。
 それでも、真冬の鉛色の空に、一筋射した陽のように   
 それとも、深い森の奥の木洩れ日のように、
 そんなふうに微笑わら男性ひとだった。
 今になって思う。多分あたしは、その人が好きだったのだろうと。
 もちろん、その頃は、そんなことには気付きもしなかったけど。
 その人と初めて会ったとき、あたしは、まだ十二かそこらの子供だった。


 最初に目を射たのは、岩頭に散った、鮮やかすぎる紅の色。
 そうして、思わず「あっ」と声を上げたのだろうあたしを顧り見た双の眸。
 潮風と、海の陽射しにかれて荒れた髪と肌の中、鋭すぎるほどの     後に神鵰侠と呼ばれるこの人の伝説めいた物語が語られるときには、必ずと云っていいほど“雷光のような”と例えられる鋭いまなざしがあたしをぎ、そうして、
     なんだ、子供か。
 そんな風に、ふっと和らいだ。
 実際、そう     口にしようとしたのだろう。
 唇が動き、そうして、その人は僅かに顔をしかめて、喉を抑えた。
しゃべっちゃだめ!」
 思わず、怒鳴るような口調で、あたしは云っていた。
「叫びすぎで喉を破ったんだ。無理に声を出そうとすると、また血を吐くよ。お祖父ちゃんが手当ての仕方を知ってる。一緒に来て」
 一息に云ったあたしを、その人は不思議なものを見るような目で見て、ふ     と、小さく微笑った。
 真冬の、重い鉛色の海と空の間に、ふっと一筋陽が射したような、そんな感じの、ごくうすい笑みだった。
「ね。一緒に来て。ね」
 重ねて云うあたしに、今度ははっきりとした笑みを見せると、口許の血を左手の親指の背でぬぐい、その人は僅かにかぶりを振った。
 くるりと背を向けた     と思う間もなく、向こうの岩頭に飛び移っている。
 軽功の達者とは、後に祖父が口にした言葉だったが、まさに体重がないような、まだ子供のあたしの目には飛仙のように見えた、そんな鮮やかな身ごなしだった。
 折からの海風に、衣服の裾と空の右袖がなびき、
    噂の通り、右腕がないんだ……。
 思わず声を上げたあたしを振り返り、今度は、その人は苦笑したようだった。
 帰れというように、左手を外に向けて振る。
 不意に、高く鋭い声が響き、そうして岩陰から、人の背丈よりもはるかに大きな、奇妙な格好の醜い鳥が姿を現した。
 その鳥と人と、二つの影が連れ立って眼前から消えるまで、あたしはぼんやりと海辺に立って、見るともなしにそれを見送った。
 それが、後に神鵰大侠として江湖に名を轟かせることになる楊過    楊兄さんとの出会いだった。

 
 あたしは、両親の顔を覚えていない。
 物心ついたときには、幾人かの人たちと旅をしていた気がする。
 後になって記憶を辿ってみると、それは旅芸人の一座だったようで、男の人も女の人も何人も居て、随分可愛がってくれた人もいたから、きっと、その中にあたしの両親もいたのだろう。
 けれど、はっきりと記憶に残っているのは祖父と二人、ここに二年、こちらに三年と、方々を移り住むようになってからのことだ。
 どうしてそんな暮らしをしていたのか、理由は知らない。祖父は語ろうとしなかったし、あたしも強いて聞こうとはしなかった。ただ、決して裕福ではなかったけれど、それほど悪い暮らしでもなかったと思う。
 そうして、この東海の海辺に移り住んだのは、三年ばかり前。
 しばらく波の音が耳について眠れなかったほかは、それまでと大して変わらない暮らしが続いた。
 それが   
 一年ばかりすぎてからだったろうか。
 ごくまれに    ひどく海の荒れた日や、怖いほどに月の冴えた夜、どこからともなく長嘯ちょうしょうの声が聞こえるようになった。
「いや。まだ、しょうとは呼べんがな」
 云ったのは祖父だった。
 が、その悲しげな響きには、ひどく気を惹かれたようだった。
 そう。悲しげな ――

     思いにかれて 今夜 はらわたまさに直なるべし

 あまり辛いので、今夜はきっと、自分の腸は真っ直ぐに伸びて死んでしまうだろう。

 後になって楊兄さんが教えてくれた、李賀という人の詩のような、まるで腸を引き絞られるような、そんな声だった。
「まだ若い、武芸者らしい男だよ」
 云ったのは、薬をもらいに来た、近郷の漁師だった。
 薬師と云うのだろうか。医師ではないけれど、傷の手当や薬に詳しい祖父は、行く先々で、それを生業なりわいのようにしていたのだ。
 ちょっと、ここがおかしいのかも知れんよと、自分の頭を指さしたのは、べつの人。
 奇妙な格好の、大きな鳥がいつも一緒に居ること。出会う人や舟に、何かいう島や、尼さんの名を云って、何か耳にしたことはないかと訊ねること。そうして、右の腕がないこと。
「ありゃあ、果し合いか何かで斬られたんじゃないかね。それでもまだ、修行を止めようとはしない。武芸者の武術家のって連中は、因果なものさね」
 家にやってくる人たちの話から、あたしは、そういった、いくつもの噂を耳に入れていった。
「それにしても強い    凄まじいまでの内力じゃな」
 そう、ひとりごちる祖父の顔に、憂いのようなものを見た、と思ったのは、はたして気のせいだっただろうか。
 幾つもの季節を巡るうちに、その嘯声はさらに凄愴せいそうの響きを濃いものにしていった。
 同時に、気のせいか、海の荒れる日が増えていったような気がする。
 夢の中にその嘯声を聞いて、泣きながら目を覚ましたことも、一度や二度ではなかった。
 そんなある日、
「やはり、これでは、いかんのぉ」
 海を見ながら、ぽつりと祖父が云った。
「小花や。あの嘯声の人を探してな、ここへつれてきておくれ」
 いつも、人には深く立ち入らず、代わりに立ち入らせもしない。ずっと、そんな暮らしをしてきた祖父には珍しいことだった。が、その人に、かなりの好奇心を覚えていたあたしとしては、渡りに舟。
 というわけで、あたしは声を頼りに、その人を探しに海辺まで行ったという次第だった。

 その海辺での一切を話すと、祖父は笑うような、困ったような顔つきで眉尻を下げ、何度か首を振った。
 それから薬を整えると、あたしに煎じ方と使い方を教え、明日、もう一度これを持ってゆくようにと云った。
 長嘯だけではなく、歌い手や講釈師や    声を使う生業のものの必ずといって通る、一種の通過儀礼に“声を破る”というものがある。あたしには、未だに理屈はわからないけれど、喉を使いすぎて血を吐くのだ。
 その段階をすぎると、声はさらに遠くまで良く通るようにる    人によっては、ひどい塩辛声になるというけれど。
 翌日、祖父の言いつけで薬と言伝を持って海辺へ行ってみたら、その人は、同じ場所で木剣を振るっていた。
 あたしには武芸のことはわからない。
 けれど、木剣の立てる音は、その時のあたしの耳には、海鳴りのように力強く聞こえた。
「お兄さん!」
 その音に負けないように声を上げるあたしに、怪訝そうな目を向け、あたしが近づいてゆくと、ちょっと煩わしそうに顔をしかめた。
「お兄さん。これ、薬。お祖父ちゃんから」
 薬の煎じ方から使い方、お祖父ちゃんが一度会いたいから来て欲しいと云っているということまで、祖父からの伝言を一気にまくしたてるあたしに、その表情は軽い困惑から苦笑めいたものへと変わってゆき、そうして、あたしが薬の包みを差し出したまま、固まったみたいに立っていると、また、冬の陽射しのような淡い笑みを浮かべ、木剣を腰帯に差し込むと、包みを受け取ってくれた。
 口を開きかけ、喉の痛みに顔をしかめると、薬の包みを右脇に挟み、あたしの手を上向けさせる。
     謝謝你(ありがとう)
 掌に書かれたのは、その三文字だった。
     不客气(どういたしまして)
 同じように掌に文字を書いたあたしに、楊兄さんは、何度か瞬きをすると、今にも笑い出しそうな、ひどく面白いものでも目にしたような表情をした。
 気になったので、親しくなってから聞いてみたら、
「あの時、お前さんは、口を利いてもよかったんだよ」
 ……そう云われれば、そうだった。
 照れ臭くて、あたしは耳の後ろまで真っ赤になり、楊兄さんは、また笑いをこらえるような表情をした。
 その日の空も、昏い鉛色をしていたような気がする。

 次の日から、あたしは毎日のように同じ場所へ、楊兄さんを見に行った。
 そう。特に話をするわけでもなかったから、会いに行ったというよりは、見に行ったというほうが正しいだろう。
 楊兄さんは、前の日のように木剣を振るっているときもあれば、鵰兄と呼んでいる大きなワシ    神鵰を相手に剣と羽根を打ち込んだりかわしたり、そんなそんな稽古けいこをしているときもあった。
 何日かがたって、普通に声が出せるようになると、
「お祖父ちゃんに、礼を云いに行かなきゃいけないな」
 楊兄さんはそう云って、一緒に連れ立って、あたしの家まで来た。
 家の外でそれを出迎えた祖父は、薬の礼を云う楊兄さんを眺め、ため息をついてかぶりを振り、もう一度ため息をついた。
 怪訝そうな表情になった楊兄さんに、これは失礼と、しわの多い顔を笑顔に変える。
「技を     奥義を会得したいと訪れるものには、才も力量もなく、相応しい力量を持ったお人には、おそらくはその気はない。世の中、皮肉なものじゃと思いましてな」
「は?」
「いや。楊     殿か。嘯というのをご存知かな?」
いささかなら」
「ならば、話は早い。ま、今の世では『象声(シャンション)』と云った方が通りは良いかの。これじゃな」
 云った祖父の喉から、立て続けにいくつもの音が流れ出た。
 時を告げる雄鶏の声。家畜の声。どこかの家の戸の開く音。炊事の音。野良に出る人々の挨拶を交わす声。足音。走り回り、はしゃぐ子供たちの声。荷車の音。風の音。木々のざわめき     目を閉じていると、まるで自分がどこかの農村に立っているような気がする、そんなさまざまの音。
    と、まあ、世に知られる『象声』は、このようなもの。が、実際の嘯とは    
 興味深気に、それでも怪訝な表情を隠さないで聞き入っていた楊兄さんに笑いかけると、祖父は小花やとあたしの名を呼んだ。どこか、表で遊んでいるようにと云う。
 うなずいて家の外に出ると、あたしは耳をふさぎながら、戸の隙間からこっそりと中の様子をうかがった。
 椅子から立ち上がった祖父の腰がしゃんと伸び、わずかに顔を反らすと、天を仰ぐようにする。
 その喉から、老人とは思えない透明な声が迸った。
 ああ、ああ、ああ    
 おお、おお、おお    
 高く低く。長く短く。
 しっかり耳をふさいでいても、なおもはっきりと聞こえるその声は、次第にその声量を増し    やがてそれに、ざわざわと奇妙な音の混じる気配に、あたしは慌てて両目を閉じた。
 ああ、ああ、ああ    
 おお、おお、おお    
 長く尾を引く祖父の嘯声に、ざわざわ、ぶつぶつ、いくつものざわめきと呟きのようなものが混じる。
 そうして    
「嘯とは鬼嘯。その本来は招魂の法。亡者の呼び声を真似てこれを招き、使役するための法。 わば呪法じゃ。そうして、呪法としての長嘯は、ただ招魂の法と云うわけではない。魂以外のさまざまなものも招く。獣を招き、鳥を招き、水怪、魅妖の類いから風や雲までをも招く。風や雲が動けば、それに応じて天候も動く    小花や」
「は、はい!」
「どこぞで遊んでおいでと云うたはずじゃよ」
「はいっ!」
 慌ててあたしは駆け出し、それでも、家が見える範囲で立ち止まると、そのまま二人の話が終わるのを待った。
 半時かそこらがすぎ、楊兄さんが祖父に送り出されて出てくるのを待って、あたしは走り寄った。
「お祖父ちゃんの話って、何だったの?」
 あたしを外に追い出した以上、祖父が話してくれないのはわかりきっていた。だから、楊兄さんに聞いてみたのだが、楊兄さんはうっすらと微笑ってあたしを見ると、小さくかぶりを振った。かわりに、
「小花っていうんだな」
 そう云った。
「うん。本当は梨花って云うんだけど、お祖父ちゃんは小花って呼ぶんだ」
「梨の花か。奇麗な名前だな」
「そうなの? あたし、梨の花って見たことがないんだ」
「そうなのか? これくらいのな」
 楊兄さんは、親指と人差し指で輪っかを作ってみせる。
「真っ白な花が一杯に固まって咲くんだ。そりゃあ奇麗だぞ」
 兄さんの大事な人みたいに? あたしがもう少し年齢がいっていたら、そう訊いたことだろう。だけど、その時のあたしは、ただ「ふぅん?」と答えただけだった。
 そうして、楊兄さんがきれいだという梨の花を、いつか見てみたいと思った。
「お兄さんは、楊過って云うんだよね。過って、どう云う意味?」
「あやまち」
「えーーーっ!?」
 意味を聞いて、本気で驚いた。だって、
「子供に“あやまち”って名前をつけるって、お兄さんの親って、どう云う人よ!?」
「名付けたのは親父でもお袋でもないよ。ほら。こっちへ来い」
 道端へ寄ると、地面に幾つかの文字を書いて、読めるかと訊いた。
 左手の指で書いたにしては、きちんと整った、読みやすい文字だった。
「ええと……。過ちあれば、これを改む」
「そう。俺のあざな改之かいし。名前と合わせて、そういう意味だ。『人は誰でも過ちを犯す。だが、過っても、改めればいい』。名付け親は、そう云ったけどな」
「で。改まった?」
「どうだかな。世間の人間の云う過ちってやつが、俺にはどうにも過ちに思えないときがあるから」
 そう云って見せた楊兄さんの笑顔は、この先も何度か目にすることになる冬の薄日のよなそれではなく、今にして思えば年相応の、随分と人懐っこいものだった。
 
 その日から、楊兄さんとあたしたちとの間での、行き来が始まった。と云っても、楊兄さんの武芸の修行を邪魔してはいけないとの祖父の言葉もあって、決してそれは頻繁なものではなかった。
 その希な往来の間に、祖父は幾つか、嘯の要訣のようなものを話して聞かせたらしい。
 決して、技を伝授しようとしたわけでも、まして弟子にしようとしたわけでもない。
 ただ    
 今にして思えば、最初にその声を聴いたときから、凄まじい内功と祖父に云わしめたその人が、知らずに過った道に踏み込むことのないように。祖父としては、それを思ってのことだったのだろう。
 そうして、あたしは    
 思いのほかに優しい、不意に出来た兄のような人に、許される範囲で、まつわりついた。
 今思えば、その人の優しさに甘えて、随分と立ち入った、不躾ぶしつけなことも訊いたような気がする。
 例えば    
「お兄さん、一人ぼっちなの? 家族とか、身内はいないの?」
「妻が     奥さんがいるよ」
「うそっ!」
 本気でびっくりの二度目だった。
 嘘でしょ。本当なの? 本当なら、どうして一緒にいないの? その人は今、どうしてるの?
 驚きのあまり、あたしは立て続けに質問を発した。
「それとも、鵰兄さんが本当は奥さんで、誰もいないところじゃ、女の人に変わるとか?」
 少し前に楊兄さんが話してくれた『白水の素女』    天帝の命令を受けた天女が姿を隠して正直者のお百姓の世話をする     という話のせいもあったかもしれない。
 そんなことを云ったあたしに、楊兄さんは、いきなり吹き出した。そのまま、しばらく大笑いしている。
 確かに    
 そりゃあ、今のあたしだったら、同じことを云うわれたら、やっぱり大笑いするだろうけど    
「ちょ……。楊兄さんてばぁ。そんなに笑わなくたってぇ」
「ああ。悪い、悪い。けどな」
「え?」
「鵰兄が、もし俺のかみさんだったら、俺はもうちょっとマシななり・・をしてるとは思わないか?」
「んー。それもそうだね」
 いい加減ボロになりかけた兄さんの服を見ながらいうと、そうだろうと云って、兄さんはまた笑った。
「けどさぁ、そういえばさぁ、楊兄さん?」
「ん?」
「楊兄さん、ずっと鵰兄さんのことを“鵰兄”って呼んでるけど、なんで男っていうか、雄だって分かったの?」
 ふと思いついて訊いてみたら、瞬間、楊兄さんは虚を突かれたような顔をして、そうして、ほんのしばらくの間だけど、考え込んでしまった。
「そう云や、最初に会った時から“神鵰兄”“鵰兄”って呼んで、雄か雌かなんて、考えてもみなかったな」
 かりこり。頭を掻いて、興味深げな顔でこちらを眺めている神鵰を見る。
 ちょっと天を仰いで、ため息をつくと、
「あれだけ賢い鳥なんだ。俺が性別を間違えてたら、何か反応しただろうさ」
 そう云った。
「鵰兄さんって、人の言葉がわかるの?」
「案外、分かってるんじゃないのかな。長く付き合ってると、そんな気がしてくるよ」
「そうなんだ」
 と、その場はそれで納まったけれど、あとになって、
「鵰兄。あんた、雄だよな?」
 真顔で訊いていたところを見ると、あれで、案外、気にしていたらしい。
 そうして、あたしはと云えば    
 あたしがもう少し大人で、もっとお裁縫が上手だったら服を縫ってあげられたのにと、
 今も、そのことが少しばかり残念だ。

 奥様の小龍女と云う女性についても、楊兄さんはぽつり、ぽつりと話してくれた。
 と云っても、子供にはわかる話じゃないと云うのを、あたしがねだって聞き出したのだけれど。
 その楊兄さんの話からすると、その小龍女と云う人は、綺麗で優しくて清らかで 、 まるで地上に舞い降りた天女     後にも先にも、現在のあたしの年齢になるまで、ここまで正々堂々と、しかも自覚もなく、自分の妻の惚気のろけを云う男には、他に会ったことがない。
 つまりは、それだけ深く、奥さんのことを愛していたのだろうけれど。
 その小龍女様     楊兄さんの話を聞いていると、どうしても“様”を付けたくなってしまう     は、楊兄さんの武芸の師匠。
 師匠と弟子が愛し合う     結婚するなどは、この時代の武林では大変な禁忌で、二人は結ばれるまでに大変な苦労をし、何度か死ぬような目にもあったそうだ。
 そうして、ようやく結ばれた     祝言を挙げたときには、楊兄さんは右腕を失っていた上に、二人ともが受けた傷やら劇毒やらで命旦夕     幾日も生きられないだろう状態になっていた。
「それでも     一緒に生きられなくても、二人が一緒に死ねるのなら、俺は幸せだった」
 冥いで海を見ながら語る楊兄さんは、この時だけは、隣に座っているあたしが、まだ子供だということを忘れているようだった。
 天が一日しか許さないのなら、俺たちは一日だけ夫婦になろう。一刻しか許さないのなら、一刻だけ夫婦になろう。そう云って祝言を挙げた二人だったのだから、と。
 その矢先、不意に奥様が姿を消した。



                                     後編 に続く



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凄いっ! 

reiさんの小説書きたてほやほや見ることができて、何だかすごく感動してます!!すごい・・これは、二次小説とかいう次元ではないですね・・本編わからなくても、引き込まれてしまいました。

楊過様のなんだか、ほんわり暖かな雰囲気・・
最後の一日だけでも・・一刻だけ夫婦になろう・・って(泣)

聞きしに勝る深い愛情でつながっているのですね。

それに、難しい熟語?単語がとびかって・・
reiさんの文才におもわず・・

読み終わった瞬間、『おぉぉーー!』と声をあげてしまいました。

さてと♪今から、後編へ・・移動(ルン♪)

2008/11/29 21:35 | 氷無月 [ 編集 ]


氷無月さんへ 

ありがとうございます!
私の方こそ、今朝、画面を開いたら、氷無月さんのコメントがいただけていて、感激しています。

>本編わからなくても、引き込まれてしまいました。
こっ……これは、最高の賛辞ですね。うれしー (T_T)

>楊過様のなんだか、ほんわり暖かな雰囲気・・
原典のほうの楊過は、もっと気性の激しい青年なんですが、
ここでは、相手役が12~3才の少女のせいかなぁ、
なんだか、いつもより優しくなっちゃってる感じです(^▽^;)

楊過の小龍女への愛、ある(やはり『神~』本編を知らない)友人によると、深すぎて怖いほど、だそうです。
ここまで愛されれば、女性としては本望? それとも、普通の女性だったら、負担かな?
それをしっかりと受けとめられるのは、やはり小龍女だからこそ、なのかもしれません。
(そのうち、小龍女サイドの話も……)

>それに、難しい熟語?単語がとびかって・・
あはは……。スミマセン (^^ゞ
漢語の多用ってのは、昔から友人に指摘されてたんですが、
どうにも直らない~むしろ、どんどん難しい用語を仕入れちゃう癖がありまして。
わかりにくいところなどありましたら、指摘して下さいませ。

>読み終わった瞬間、『おぉぉーー!』と声をあげてしまいました。
え? う……うれしいよぉ (感泣)

>さてと♪今から、後編へ・・移動(ルン♪)
はい。
長い作品でスミマセンが、よろしくです(*^_^*)

2008/11/30 09:18 | rei☆azumi [ 編集 ]


 

なんか…
最初の書き出しで吸い込まれちゃいました(^^ゞ
またこの兄さん、カッコいいんだろうなぁww

2008/12/02 11:15 | mogumogu [ 編集 ]


mogumoguさんへ 

ありがとうございます (^^ゞ
小説は、書き出しと締めの言葉が命、だったりしまして(笑)

>またこの兄さん、カッコいいんだろうなぁww
そうなんですよ。
おかげで、未だにメロメロ(死語?)です (^▽^;)

2008/12/02 18:17 | rei☆azumi [ 編集 ]


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Author:rei★azumi
ヒト属ネコ科 コタツ猫亜種 読書ネコ
『神鵰侠侶』で金庸にハマった、金庸初心者。
とりあえず、金庸の小説全作品読破を目指すも、突如神鵰侠侶二次小説にハマる。
さて、この先、どうなりますことやら。

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