2009/01/11 (Sun) 肉屏風の密室

肉屏風の密室肉屏風の密室
(2008/07/18)
森福都

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なかなか物凄いタイトルで、それっぽい表紙で、これ、森福さんの著書じゃなくて、図書館の本棚にあるのじゃなかったら、まず、手に取らなかったでしょうなぁ(笑)

でも、でも、タイトルから想像されるような、いわゆるヤラシイ話じゃありませんので、ご安心を(笑)
(一種のミステリーと云うか、事件モノですかな?)


さて、





時は北宋の前期。
高名な医師の孫で、皇帝の伯父である八大王の落胤、の趙希舜(ちょう・きしゅん)
白面の書生風で、講釈師顔負けの美声の持ち主ながら、天才肌の拳法の達人でもある傅伯淵(ふ・はくえん)
軍人上がりの髭面の巨漢、賈由育(か・ゆいく)
軽業仕上がりの女細作(さいさく)、茅燕児(ぼう・えんじ)

この4人、朝廷の命令を受け、身分をやつして地方官の不正を調査し、その断罪までを行う『巡按御史(じゅんあんぎょし)』のご一行様で、
真の巡按御史は趙希舜なのですが、ほとんどの場合、表向きは傅伯淵が巡按御史で、趙希舜はその侍童と云うかたちを取っています。

なぜなら、

希舜は、実態は二十五歳の青年ながら、どういうわけか、その外見は十四、五歳の少年にしか見えないからなのです。

……と云うことで、これ、以前に『年々大吉』で阿吉さんが紹介しておられた『十八面の骰子』の続編に当りまして、収録されているのは、

治水工事の不正の調査に来たはずが、
奇妙なかたちでの密室殺人(?)の捜査をすることとなる表題作を含め、

黄鶏帖の名跡(おうけいじょう の みょうせき)
蓬草塩の塑像(ほうそうえん の そぞう)
猩々緋の母斑(しょうじょうひ の ぼはん)
楽遊原の剛風

の5編で、
女難の予言を受けた希舜が、新興宗教の女教主の身代わりであわや殺されかけるという、とんでもない展開のある『猩々緋の母斑』が、その女教主のキャラが面白くて、
(あと、作中で語られる紅花染めの話も面白くて)
私としては、一番のお気に入りです。

で、4人の関係――希舜の護衛役も兼ねている伯淵と由育は仲が悪くて(と云うより、ケンカして見せるのが習慣化してるのかな)
燕児は、伯淵に岡惚れしていて、希瞬を見た目どおりの少年だと思い、子ども扱いし、
(由育も、「希舜ぼっちゃん」つって、ほとんど子ども扱いしてますな)
という、希舜にとって、アタマの痛い状態は相変わらずですが、

この希舜クン、前巻の『十八面の骰子』において、愛妻と幼い娘を一度に喪っていることが描かれていて、そのことに対する慙愧の念というか、暗鬱さみたいなものが、読んでて、ちょいと鬱陶しかったんですが、
でもって、肝心のストーリーよりは、その亡くなった奥さんがどういう人だったのかとか、
何か事件に巻き込まれて死んじゃったんだろうかとか、そちらのほうが気になってたんですが、
この巻の中(とくに「肉屏風の密室」)明らかにされまして、
あと、希舜クンも、それなりに吹っ切れた部分があるのかなぁ、
話そのものも、あと味の良い終わり方のものが多くて、とても楽しんで読めました。

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私も一瞬タイトルを見て、ギョッとなってしまいましたが(^^;『巡按御史』シリーズの続編だったのですね!章ごとのタイトルも難しい漢字が多いですなぁ!(現首相は絶対読めないと思う…)字面から、何やらただ事ならぬ雰囲気が漂ってきます。
私も年末年始に森福都先生の短編を読んで、(まだ感想アップしてないのですが)『十八面の骰子』の方ではあまり感じなかったゾクゾクッとする物を感じました。やはりミステリーの魅せ方が上手な方なのでしょうか?

希舜の過去、私も非常に気になっておりましたので、これはいずれ読んでみたいですね~!

2009/01/11 23:25 | 阿吉 [ 編集 ]


阿吉さんへ 

>私も一瞬タイトルを見て、ギョッとなってしまいましたが(^^;
ねー。凄いタイトルですよね。
これなら、せめて『巡按御史2』とか、どこかに入れておいて欲しかったものですが(^▽^;)

>章ごとのタイトルも難しい漢字が多いですなぁ!(現首相は絶対読めないと思う…)
あははは……。云えてます。絶対!(笑)
私も、本書の方にルビが振ってなかったら、どこまで読めたやら~ですもの。

>字面から、何やらただ事ならぬ雰囲気が漂ってきます。
田中芳樹さんがよく、漢字の持つ力というか、表現力の大きさについて、著書の中で述べておられますが、このタイトルにも、それが感じられますね。
ただ、難しそうなので、読む前には、ちょっと腰が引けてしまいましたよ(^▽^;)

>やはりミステリーの魅せ方が上手な方なのでしょうか?
そういえば、初めて読んだ森福さんの作品もミステリーで、
短編集もミステリーが多い感じで、
(あ! 長編の『漆黒泉』も、謎解きが入ってました)
そうしてみると、ミステリーを得意とする~~というか、ミステリー畑の方なんでしょうね。

人物造形やら、背景となる事象の書き込みも綿密で、さらなる新作が待たれる方でもあります。
 
> 希舜の過去、私も非常に気になっておりましたので、これはいずれ読んでみたいですね~!
ぜひ、ぜひ!
『十八面~』から想像していたほど壮絶ではありませんが、かなり切ない過去ですので。
(というと、ますます気になります?)

2009/01/12 09:33 | rei★azumi [ 編集 ]


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Author:rei★azumi
ヒト属ネコ科 コタツ猫亜種 読書ネコ
『神鵰侠侶』で金庸にハマった、金庸初心者。
とりあえず、金庸の小説全作品読破を目指すも、突如神鵰侠侶二次小説にハマる。
さて、この先、どうなりますことやら。

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