2009/03/12 (Thu) 霍去病 ―かく・きょへいー 麒麟龍彗星譚

霍去病―麒麟龍彗星譚〈上〉 (河出文庫)霍去病―麒麟龍彗星譚〈上〉 (河出文庫)
(1999/10)
塚本 青史

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霍去病―麒麟龍彗星譚〈下〉 (河出文庫)霍去病―麒麟龍彗星譚〈下〉 (河出文庫)
(1999/10)
塚本 青史

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阿吉さんご紹介の『光武帝』の作者、塚本青史さんの作家デビュー作。
(それ以前に、イラストレーターとして活躍しておられたそうです)

タイトルは、漢の武帝の時代、その武帝に仕えて匈奴討伐に多大な功績を上げ、夭折した天才武将の名で、
作品自体の、彼の葬儀のシーンから始まり、叔父である大将軍・衛青の回想という形をとってはいるんですが、
内容は、どちらかと言えば、武帝と、その時代を生きた人々の群像劇と云う感じでした。

で、デビュー作と云うのは、大抵は、力が入っているものですが、
評論家でも批評家でもない一読者が読んで、ちょっと、力が入りすぎなんじゃないの? 
と思えたのは、この小説が初めてでした。
とにかく、思いついたこととか、調べたこととか、時代背景から風俗から、何もかも書き込もうとしてある感じなのと、表現も、後の作品である『光武帝』などの、さらさら、淡々とした文体に比べると、か~なり書き込んであるせいか、文章を読んでて、受けた印象が『みっしり』。
(本の紙面も、かなり黒いです(^▽^;)
で、読むのに、些か根性が要りました(笑)
(話そのものはね~ネット上江湖の住人とか、中国の歴史に興味のある人なら、面白く読めると思いますよ)
(私の場合は、作品そのものは見てないけど、『大漢天子』で暁明が武帝を演じたって聞いてたから、そのイメージで、頑張って読みましたケド(笑)

それと、所々台詞がね。
「主上。さきくませ」
な~んてのが出てくると、ヤマトタケルでも読んでるような錯覚を覚えたりして(苦笑)

で、群像劇なので、色々な人物が登場しますが、
まず、中心となる武帝なんですが   
どうも、この塚本さん、偉い人を書くと、年齢にかかわらずオッサンになっちゃう癖があるんじゃないかな?
あとで、これに関連した別の作家さんの短編を覗いたら、十六歳で即位としてあったんですが、皇太子時代から即位当時……十代に思えない(^▽^;)

あと、一応の主人公(といっても、上巻の終わりごろからしか登場しません)霍去病の捉え方が、英雄ではなく、かといって普通の人間でもない。
天才には、万遍ないのと、もげてるタイプがいるけど   と云うのは、あるマンガの登場人物の台詞なんですが、
直接匈奴と戦うことにしか関心がなく、食料の補給が上手くゆかなくて兵士が上に苦しんでる横で、自分が皇帝から下賜された食料が腐ってても、その食料を分け与えることもしない(思いつかない)という、かなり“もげてるタイプ”というか、欠陥のある人間に描かれてたのが、
叔父である衛大将軍   この人、奴僕だったのが歌姫だった姉が武帝の寵愛を受けたことから、取り立てられて武帝に仕えることになるんですが、苦労人な分、それこそ万弁のない性格をしてて、それとの対比もあって、面白かったです。
(おまけに、ここの霍去病、マザコンだし(~_~;)

あと、登場人物が多いので、当然のように目立つ人物と、埋もれちゃう人物が出てくるわけですが~
(生え際の美しい☆☆とか、汗っかきの××とか、褐衣の似合◎◎うとか、繰り返し書かれたってねぇ。埋もれちゃう人物は、やっぱり埋もれちゃうわけです)
その中でも、特に異彩を放ってたのが東方朔。
この人物、この小説の中では、何と身長が2メートルを超える美形の巨人。
そのくせ身軽で、体中の関節を自在に外せるという特技を持っていて、なかなかの知恵者で   なので、表向きは武帝に仕える道化だけれど、裏では細作   と云うか、お庭番みたいな役目を割り振られています。
で、これだけで十分個性的だと思うのに、塚本センセイ、さらに個性的にしたかったのか、台詞の語尾が、「☆☆は~ぁ、△△で~ぇ、◆◆~ぅなので~ぇ」
これ、長台詞でやられると、大概鬱陶しいですな (^▽^;)
なので、そのへんは要約して読ませていただきましたが ヾ(~O~;) コレ
しかし、書いてる塚本センセイ自身は、鬱陶しくなかったのかしら?

あと、算術の達人で、なぜか関西弁(洛陽なまりだそうです)の桑弘洋(そう・こうよう)、
武帝の母である王皇太后の御殿医となった姉の引き立てから、右内吏   って、どんな役職か判らないんだけど、検察か警察長官みたいな感じ? にまで出世しながら、思いがけない成り行きでコケちゃっう悪少年上がりの義縦(ぎ・しょう)
(この人に、かなりの筆が割いてあります)
西域に大月氏族と同盟を結ぶための使節として赴きながら、十数年間、匈奴の捕虜となって帰国した張騫(ちょう・けん)etc……
と、さまざまな人物が登場して、それを読んでるだけでも、なかなか興味深かったです。

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青が青い! 

そう、気になる存在なのです。
青が青になってるあたり、
ただものではない気配を感じておりました。
が、いかんせん、太いぞ、本が!

だめです・・・。
箸より重い本なんて、持てないもん。

2009/03/12 19:55 | kammaki [ 編集 ]


待ってました!が! 

わあ~~!東方朔~~!!
その不思議なキャラクターは何なんですか~!(爆)
美形の巨人で、関節外せて、ギャル男みたいな喋り?!
想像がつくような、つかないような(^^;

>「主上。幸くませ」
言葉づかいって、やっぱり気になりますよね!
あまりにも大和っぽくてもアレだし、
現代風でもアレだし…。

>偉い人を書くと、年齢にかかわらずオッサンに
「光武帝」くらいしか読んで無いですけど、
確かに、今思えば、
光武帝も妙~にとっつあん坊やっぽいというか、
オッサン臭かったような?

2009/03/12 22:17 | 阿吉 [ 編集 ]


kammaki さんへ 

> 青が青になってるあたり、
そう。これは、お父上の命名で、歴史を記すものと云う意味があるとか何とか。
なので、わざわざ青をにしてあるのだそうです。
なので、実際、ただものではなかったのですが……

読むのに、根性が要りますからねぇ……

いずれ、体力がついた時にでも、どうぞ!

2009/03/13 18:46 | rei★azumi [ 編集 ]


阿吉さんへ 

> その不思議なキャラクターは何なんですか~!(爆)
でしょう~
ここまで不思議なキャラを創造しそうな人といったら、他には、山田ミネコさんくらい?(笑)
(ファンタジー系の小説で、美形のマッチョマンとか書いてましたから)

> ギャル男みたいな喋り?!
あら、本当。
本書のほうには、大男特有の間延びのした喋り方と書いてありましたが、
台詞だけ見ると、まるっきりギャル男ですね。
とにかく異色と云うか、やたら目立つ、摩訶不思議なキャラでした。

> 言葉づかいって、やっぱり気になりますよね!
そう。言葉遣いも、雰囲気を現す重要なものですから。
明らかに中国的! と云うのなら歓迎ですけど、
明らかに大和言葉、と云うのはちょっと……(^▽^;) ですよね。

> 現代風でもアレだし…。
そういえば、藤水名子さんのほうで、「◎◎っつーか」と云うのが出てきて、
ちょっと、苦笑させられましたっけ。

> 確かに、今思えば、
> 光武帝も妙~にとっつあん坊やっぽいというか、
> オッサン臭かったような?
でしょ。オッサンっぽかったでしょ(笑)
あれで、二十代後半から三十代前半だったそうですよ。
私、読んでて四十過ぎかと思っちゃいました。

2009/03/13 19:09 | rei★azumi [ 編集 ]


 

( ̄∇ ̄;) ハッハッハッ・・紙面黒いですか・・
きっと、私はその時点で、パタンと本を閉じてしまいそうですが
(笑) それにしても、2メートルを超える美形の巨人ですか・・
どんなに美形でも2メートル超えてしまうと・・何だか、とても
低い声でしゃべっていそうで・・。 しかも関節はずせちゃうんですよね・・あははは・・。全然イメージが出来上がらないんですが・・。どうしてもジャイアント馬場さんとか系にいってしまいますの・・。
  っていうか・・・私、最近本当、本読んでないなぁ~・・。

2009/03/14 21:42 | 氷無月  [ 編集 ]


氷無月さんへ 

> きっと、私はその時点で、パタンと本を閉じてしまいそうですが
あはは……って、笑い事じゃないな。
実際、ワタシも半分くらい、ナイトキャップ代わりにしておりました。
(布団の中で数行でも本を読まないと、眠れない体質になってしまって(^▽^;)

>全然イメージが出来上がらないんですが・・。どうしてもジャイアント馬場さんとか系にいってしまいますの・・。
ううむ……。なるほど。
背が高すぎる→顔が長くなる→ジャイアント馬場。なってしまいますねぇ。
顔立ちそのものは整ってても、どうしても、バランスが~ですものね。
私の場合、黒々とした紙面を追うのに必死で、
イメージを思い浮かべようとしなかったのが幸いしたようでしたが(^_^;)

>   っていうか・・・私、最近本当、本読んでないなぁ~・・。
忙しいですもん、氷無月さん。
そのうち、ゆとりが出来たら、ね。

2009/03/16 18:30 | rei★azumi [ 編集 ]


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Author:rei★azumi
ヒト属ネコ科 コタツ猫亜種 読書ネコ
『神鵰侠侶』で金庸にハマった、金庸初心者。
とりあえず、金庸の小説全作品読破を目指すも、突如神鵰侠侶二次小説にハマる。
さて、この先、どうなりますことやら。

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