秋水長天

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月蝕島の魔物

いやぁ~。たまには「ヤング・アダルト」のコーナーも覗いてみるもんだな~
と云うことで、図書館の、その「ヤング・アダルト」コーナーで見つけたのがこれ。

月蝕島の魔物 (ミステリーYA!)月蝕島の魔物 (ミステリーYA!)
(2007/07)
田中 芳樹

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です。

主人公    というか、物語の語り手のエドモンド・ニーダムは、“あの”クリミア戦争のバラクラヴァの戦いの軽騎兵旅団の生き残り。
戦争からの帰還後(戦争前に務めていた出版社は潰れていたので)姪のメープルとともに、ミューザー良書倶楽部と云う最大手の貸し本屋(兼、出版社)に就職。
製作者(プロデューサー)の肩書きを与えられ、以後、順風満帆の日々    を、送るはずだったのですが……

なぜか、壊滅したはずのスペイン無敵艦隊の船の一隻(てコトは、エリザベス1世の時代の船ですな、なんと!)の氷漬なんてとんでもないモノが、イギリスの北方にある月蝕島に流れ着いた1857年の夏、
担当者の骨折のせいで、“かの”文豪・ディケンズと、彼の屋敷に滞在していたアンデルセンの世話を命じられたことから、とんでもない冒険(もちろん、氷漬けのスペイン船もかかわってきます)へと巻き込まれてゆくこととなります。

戦争で散々酷い目にあって、平和な生活が一番、戦争や冒険なんてこりごりといっていたにもかかわらず……


と云うことで……



若い叔父さんと、彼に全幅の信頼を置く姪っ子(他に親族なし)
良識派で常識人を自認している割りには、実際は、ちょっとキレてるかモゲてる部分のある(でもって、やるときにゃ、しっかりやる)青年、もしくは中年と、
明朗闊達  というか、ちょっとお転婆だけれど聡明な少女、
クセも味もあるオジさまたち、もしくは元気モノのご老人たち、
唯我独尊タイプの悪役、
と云うのは、田中サンの好んで書かれる組み合わせのようなんですが………

その、パターン通りの組み合わせが、毎度毎度、何だってこう、面白いんでしょうねぇ。

ジュブナイルなので、活字は大きい、誌面は白い~だったんですが、厚みもそれなりにあったので、じっくりと時間をかけて  のつもりだったのが、ほとんど一気読みしちまいました(^▽^;)

で、タイトル通りに怪物も登場するんですが、
本物の怪物は、人間の心のうちに~というのも、やはり、いつもの田中サンでした。

あと、その時代の社会情勢とか風俗、働く女性に対する世間の見方とか、貧困層の子供の置かれた劣悪な労働環境、金銭の単位と、それに対する解説etc……が、毎度ながら、読んでいて興味深かったですし、
それと、食べ物を書くのが好きですね~、田中サンって(^_^)

ウサギ肉とタマネギのシチュー、チキンパイ、マッシュポテトをそえた鱒のグリル、アンチョビー・ペーストをそえたバタートースト、それに山盛りのポテトフライにビールとコーヒー、バニラのアイスクリームと林檎のタルト。

紅茶、ミルク、三種類のパン、三種類のジャム、糖蜜のプディング、レーズンとアーモンドのケーキ、それに山盛りのドライフルーツ。

なんか、書き並べるだけで美味しそう(笑)

(ついでに、アンデルセン氏は豚肉が嫌いで、「がつがつ」と物を食べる人で、食事のあとは、ナプキンもテーブルクロスも、すっかり汚れてしまう、なんてことも書いてありました)

それと、豪放磊落、万能型で面倒見が良くて、難しそうだけど実は凄くいい人なディケンズと、
居るだけで人にお世話をかけちゃう(?)場の空気は読めない、でも、心優しく、高貴な魂の持ち主であるアンデルセンとの対比が面白かったです。
(で、どちらも愛すべきオジさまたちです。付き合うには大変そうだけど。特にアンデルセン先生(^▽^;)

無論、田中節も健在で、
ナイチンゲールのことを“きびきびした、しっかり者のお姉さん”と評したり、
当時の女性の労働や婦人参政権の問題に絡んで、何かと姪っ子の悪口をいう同僚に対し、
「紳士のつもりなら、こそこそ女性の悪口をいったりするな。でないと、お前の選挙権どころか、生存権をおびやかしてやるぞ
好きだなぁ、こういう言い回し(笑)


ところで、この作品は『ヴィクトリア朝怪奇冒険譚』三部作の第一作で、あとに、
『髑髏城の花嫁』『水晶宮の死神』が控えてるんだそうですが、
ネットで調べてみたら、まだ書かれていないそう。

早く出ないかなぁ……

(というか、『楊家将』みたいに、予告だけで終るってことはないでしょうね(-_-;)




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rei★azumi

Author:rei★azumi
ヒト属ネコ科 コタツ猫亜種 読書ネコ
『神鵰侠侶』で金庸にハマった、金庸初心者。
とりあえず、金庸の小説全作品読破を目指すも、突如神鵰侠侶二次小説にハマる。
さて、この先、どうなりますことやら。

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