平岩弓枝の 西遊記

阿吉さんから貸していただいた本の第二弾。

西遊記〈上〉西遊記〈上〉
(2007/03)
平岩 弓枝

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西遊記 下西遊記 下
(2007/09/27)
平岩 弓枝

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考えてみたら、中国で書かれた小説~というか、読み物の中では、これが一番有名なんでしょうが、
逆に、原作を読んだ人が、どれだけいるのかな? と云う本でもあると思います。
と、かく云う私も、小学校から中学の時に、ジュブナイル用にリライトされたのを読んだきりで。
(でも、あれはわりと、原典に忠実だったと思います。なぜか、牛魔王関連のエピソードが、バッサリとカットされていたほかは)
と云うことで、懐かしく、楽しく、読ませていただきました。

で、この平岩版の西遊記、
本来なら描かれるはずの、花果山(かかざん)での悟空の誕生から仙術修行、天界での大暴れは、作中の会話で語られるだけで、バッサリカット。
(多分)一般的には、あまり有名でない、龍に命乞いをされたのに、そうとは気付かずに約束を破ってしまった唐の太宗・李世民の地獄巡りから始まって、
三蔵法師の取経の旅へと繋がってゆきます。
それ以降の展開は、ほぼ、原典に忠実だと思えますが。

で……

平岩先生、全体的に視点が優しいです。
悟空をはじめとする三蔵一向だけでなく、妖怪たちに向ける視点も。
原典では、不老不死になれるとか、そんな理由で三蔵法師のお肉を狙って襲ってくる妖怪との戦いが大半ですが(平岩版でも、そういうのもいるんですが)、
平岩版の妖怪たちは、殆どが、それぞれわけあり。
巻き込まれる事件、
観音様のお住まいの池から人界の川に流された夫と子供を人間に食べられてしまった金鯉の復讐だったり、
自然破壊で身内を殺された動物達  虎と鹿と羊  って、中国じゃ羊が野生で棲息してるのか……(~_~;) の復讐だったり、と云うようなのも結構ありまして、
(この3頭は死んじゃうんで、何とも哀れです)

と、そうなると、天女に叶わぬ恋をした天界の役人が、自分は妖怪に身を落として、彼女を引っ攫って、人界の国王の姫君に転生させた上で夫婦になって  と云うエピソード、
最終的には、親子夫婦、別れ別れにされちゃうんですが、
これなんて、もうちょっとなんとかならないのかと思ってしまいます。
(でも、そうなると、あとの金角・銀角の話に繋がらないものな~)
いや。どうも最近、男性の一途な思い~ってな話に弱くて、ですね(^^ゞ
(ええ。どうせ私は、『神雕侠侶』シンドロームっス(^▽^;)

あと、各キャラの性格ですが、悟空は、子供のころに読んだ本でも、堺正章さん主演の『西遊記』でも、暴れん坊だけれど、結構世慣れた、ちょっと中年以降の大人な雰囲気があったんですが、
こちらの悟空の雰囲気は、ちょっと幼くて、ローティーンか、目一杯多めに見積もってもハイティーン。
その分、一途で健気で、一心に三蔵法師を慕うあたりとか、何げな物言いとかが、非常に可愛いデス。
で、悟空が産まれたときから見守ってきた花果山の土地神さんや、何かと云うと助けに出てきてくれる観音様はもちろんですが、
天界で大暴れした時に戦った顕聖二郎真君(けんせいじろうしんくん)や哪吒太子(なた たいし)からも好意をもたれてる。
……愛されてますなぁ、悟空。

それと、悟浄が、自分は気が利かない不器用モノで~とか云ってたようですが、実直で朴訥で考え深くて、あと、ちょいと台詞に訛りなんぞがあって、なかなかいい味が出てました。

と、女好きで大食いで、ドラマなんかでは一向に成長しない感じの猪八戒(法名は悟能なんですね)ですが、この作品の中で一番成長したのは、彼だったかも。
当初は、小役人根性丸出しで、云われたことしかやらない、危険があると逃げ出す、目下は馬鹿にする、何かあると、人を貶めようとする~と、
三蔵法師にとっても、アタマの痛い弟子だったんですが、
三蔵法師最大の危機に、白馬になっていた玉龍に散々罵倒されたあたりから、猛反省の末、仲間のためには骨身を惜しまない、懐の深い人物(人じゃないケド)に変わってゆきます。
(その分、悟空が八戒をからかって遊ぶ、というシーンが……なかったような(^▽^;)

で、それぞれが成長して、旅を続ける内に、しっかり心も通じ合った一行、
原典の方では、唐の都へお経を届けて、再度天竺へ戻って、それぞれが仏や羅漢に任じられることになるという結末で、
な~んか、もう一つしっくりこないなぁと、思ってたんですが、
この平岩版では、もう一味。
爽やかな、いい幕切れになっておりました。

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コメント

私も読みました~

今晩は!私も全巻読みましたよ(^^)!
とても面白かったです。
私はこの本の可愛い挿絵が好きで、特に、1巻で、悟空が三蔵法師に体に生えた雑草をとってもらっている挿絵が一番好きです!(←すごいピンポイントですみません(^^;))。優しくて柔らかくて見てると心が和みました。

>悟空をはじめとする三蔵一向だけでなく、妖怪たちに向ける視点も。
仰るように、そうですよね~。敵にも敵なりの悲しい事情があって人間に悪さをしている・・・というのが、最後のほうに分かったりして。
私は通勤中の電車でこの本を読みましたが、何回か電車の中でこっそり感動の涙を流しました(^^;)

優しい西遊記♪

これ、毎日新聞連載されてたんですけど、ウチが途中で朝日新聞に変えちゃって、続きが読めず、本になるのが待ち遠しかったんですよ~!
私も西遊記関係はいくつか見たり読んだりしてますが、これ、一番優しい西遊記だと思います!
一番鮮烈な印象なのはマチャアキ西遊記ですけどね(^^;

>悟空の誕生から仙術修行、天界での大暴れ
ほんと、この部分も是非読みたかったですけど、全体の流れで、孫悟空と三蔵法師の関係が、父と子みたいで、私も何度か涙しました(T T)
それを際立たせる為にカットしたんでしょうか??

>な~んか、もう一つしっくりこないなぁと、思ってたんですが、
この平岩版では、もう一味。
そうですよね!こういう解釈なら納得、
目から鱗、というかんじでした!

>Chiepyさん
悟空が三蔵法師に体に生えた雑草をとってもらっている挿絵
私も好きでした~!(^^)
さっぱりスッキリ~!って感じですよね♪

No title

西遊記ですか~
僕も原作は読んだことないですね。絵本とかドラマとかならありますけど。

そういえば幼稚園のときのお遊戯で孫悟空を演じて歌をうたったこともありました。

No title

そういえば、『西遊記』は、子ども用の物語なら読んだことがありますが、原作は読んだことがないなぁ。
平岩弓枝さんって、『御宿かわせみ』のイメージが強いですが(読んだことはないです(^^;ゞ)、こんな物語も書かれてるんですね。
私は孫悟空といえば、手塚アニメの孫悟空を連想します(もちろん、マチャアキも知ってますが)。なので、ローティーンの孫悟空にも違和感ないかも(笑)

Chiepy さんへ

今晩わ。
ようこそ、おいで下さいました。

> とても面白かったです。
いい本でしたね。
ちょっと分厚かったケド、一気読みしてしまいました。
で、挿絵も、ちょっとクラッシックな感じでしたが、物語の雰囲気に合っていて、素敵でしたね。

> 特に、1巻で、悟空が三蔵法師に体に生えた雑草をとってもらっている挿絵が一番好きです!
ああ、はい。
私も、あの挿絵は印象的で。本当に、心がふわぁ~っと暖かくなる、いい絵でした。

> 仰るように、そうですよね~。敵にも敵なりの悲しい事情があって人間に悪さをしている・・・というのが、最後のほうに分かったりして。
根っからの悪と云うものは存在しない、ということなんでしょうね。
その分、切ない結末もあったりしましたが。

手許において、時々読み返したい本だと思えました。
(で、そのたびに、うるうるするわけです (^^ゞ

阿吉さんへ

> ウチが途中で朝日新聞に変えちゃって、続きが読めず、本になるのが待ち遠しかったんですよ~!
ああ。
それで、購入されたんですね。
なるほど、これが途中で読めなくなったら悔しい~というか、続きが気になって仕方がないですものね。

> 私も西遊記関係はいくつか見たり読んだりしてますが、これ、一番優しい西遊記だと思います!
ですね。
そういえば、今まで、こういう視点で書かれた西遊記って、なかったのでは?
素敵な本を貸してくださって、本当に、ありがとうございました!

> 一番鮮烈な印象なのはマチャアキ西遊記ですけどね(^^;
同感です。
私は、あの悟空も大好きでした ♪

> >悟空の誕生から仙術修行、天界での大暴れ
> ほんと、この部分も是非読みたかったですけど、
そうですね。
平岩先生の筆にかかるとどうなるか、と云うところも、非常に興味のあるところですし。

ただ、考えてみると、ここのところを現在から語りなおさせることによって、
三蔵法師に、当時の悟空の淋しさを理解させたり、
悟空に、彼を取り巻くさまざまの人の思いやり、優しさを理解させることによって、
それぞれの成長を促したかったのかなぁ、なんて思ったりもしました。
(なんか、あまり上手く説明できてませんが)

>全体の流れで、孫悟空と三蔵法師の関係が、父と子みたいで、私も何度か涙しました(T T)
特に、読んでいる最中は、悟空の三蔵法師を慕う様子が、子供が父親を慕うような~と何度も感じました。
(そういえば、三蔵法師の悟空に対する想いも、父が子を案じるような)
この2人の関係、胸がジーンとなりますね。


> そうですよね!こういう解釈なら納得、
> 目から鱗、というかんじでした!
ですよね。
さすが~~と言うか、こういう終り方、大好きです。

小翔さんへ

> 僕も原作は読んだことないですね。絵本とかドラマとかならありますけど。
やっぱり、そうですよね。
では、この機会に、この平岩版を。(読みやすいですよ~)

> そういえば幼稚園のときのお遊戯で孫悟空を演じて歌をうたったこともありました。
すご~い! 主役じゃないですか!
で、やっぱり、牛魔王とかも出たのでしょうか?

ふく*たま さんへ

> そういえば、『西遊記』は、子ども用の物語なら読んだことがありますが、原作は読んだことがないなぁ。
あ、やっぱり。
話が有名すぎて、あと、子供用の『○○名作全集』の類には大抵入ってるでしょうし、ほとんどの人が、そういうものでしょうね。
でも、これは面白かったし、良かったので、機会がありましたら、是非。

> 平岩弓枝さんって、『御宿かわせみ』のイメージが強いですが(読んだことはないです(^^;ゞ)、こんな物語も書かれてるんですね。
はい。私も、平岩さんは和者のの時代物の方だと思っていたので、ちょっと意外に思いました。

> 私は孫悟空といえば、手塚アニメの孫悟空を連想します(もちろん、マチャアキも知ってますが)。なので、ローティーンの孫悟空にも違和感ないかも(笑)
というと、『悟空の大冒険』でしょうか?
あの悟空も可愛かったですね。
ストーリー展開が斬新すぎて、私は、ちょっと苦手でしたが。

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