秋水長天

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中国幻想ものがたり

中国幻想ものがたり (あじあブックス)中国幻想ものがたり (あじあブックス)
(2000/11)
井波 律子

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『志怪』『伝奇』などと呼ばれる中国の不思議な物語を「夢の巻」「恋の巻」「怪異の巻」の3部構成、各12節の合計36節に分けて紹介、解説した本で、
『西遊記』『水滸伝』『三国志』『金瓶梅』『紅楼夢』の有名どころの内容の一部紹介や、
「邯鄲の夢」や、『聊斎志異』の「葛巾」「侠女」など有名な話も載っていますが、
それ以上に、知らない話が山盛り。
(よく似た話のほかに、同じ話の書き換えと云うのもあるらしいです)

ちょっとホロリとさせられる話や、
(早くに母をなくした少年のところへ、何人かの子どもがやってきて「弟」と呼んで可愛がってくれるが、それは亡母が生前大事にしていた人形の化身だった)
クスリと笑わせられる話、
(それぞれ、妻と夫の再婚に嫉妬して現れた幽霊が、仲人婆の口利きで、幽霊同士結婚してしまう)
ぞっとさせられる話、
(結婚したら、奥さんが実は幽霊だった、と云う話がいくつか)
等々、色々とありまして、

中国っで国は、いったいどれだけ怪異譚があるんだ~と思うのと同時に、
井波先生、まえがきの最初で、
「子は怪力乱神を語らず」という言葉は、儒家思想ひいては儒教の現実主義・合理主義をずばり表現したものとして、はなはだ人口に膾炙(かいしゃ)する。
と、真面目に書いていらっしゃいますが~
(にもかかわらず、中国には幻想文学・幻想物語が大量にあって……と続くわけですが)

ちょっとひねくれた読者といたしましては、京極夏彦さんが作中で書いておられた、

「まあ、小難しい話は横に置いておくとして、儒家が今で云う怪異好きであったことはまあ、間違いないんです。孔丘先生(孔子)がわざわざ語るなと云ってるくらいですから、止めなきゃ語り倒していたんでしょう」
 語り倒しますかと柴は大いに受けた。
「だって語るなと云っても皆語るじゃないか。(後略)」                            
               『陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)』より

というのを思い出して、にやぁ~り、とさせられるんですが、
(大体、志怪小説を書いたりまとめたりするのって、知識人ですしね~)
同時に、この本に紹介されていた志怪小説、猛烈に読みたくなってきます。

あと、読んでて「へぇ~」と思ったのが、『長恨歌』に関する話。
白居易は、あれの執筆中、楊貴妃と同門の楊家の女性に深く恋をしていて、なので、『長恨歌』の楊貴妃のモデルは、後に奥さんになったこの女性らしい。で、彼女は、若い頃は蒲柳の質で病気がちだった、というものです。

そういわれれば、唐代は、ふっくら型の女性が美人とされていて、たしか楊貴妃もその型だったはずですが、
作中の楊貴妃のイメージって、豊満、艶麗と云うよりは、雨に打たれる梨の花とか、楚楚として儚げな~と云うか、なよっとした感じですよねぇ。
(ねぇ、と云われても知らん、とか云われたりして(苦笑)
と、これは、なるほど~と納得の話でした。


それから、私的にちょいと気になったのは、『恋の巻』の最初で、恋の歌として紹介されていた『上邪(天よ!)』と云う詩。

上邪
我は君と相知り
とこしえに絶え衰うること無からしめんと欲す
山にみね無く
江水 くるを為し
冬に雷 震震と
夏に雪降り
天地 合すれば
乃ち敢えて君と絶たん

これ、井波先生は女性から男性に向けた恋の歌だと書いておられまして、
専門家がそう仰るんだから、間違いないんでしょうが、
な~んか、武侠小説とか武侠ドラマとか、ある程度の数を目にしますとねぇ、
江湖の侠客たち、義兄弟の契りで、このくらいのことは口にしそうな気がして(^m^)プププ……
(男性でも、こういうことを口にしそうな情熱的なキャラも、ひとり、ふた~り……)




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Comment

 

面白そうですね!(あぁ、また読みたい本が増えていく…(^^;ゞ)
確かに、その詩は、恋の歌のみならず、義兄弟の契りの文句としても通りそう(笑)
中国人は、感情表現が大きいですね。
全然関係ないんですけど、『書剣恩仇録』の中で(今読書中)、乾隆帝と陳家洛が手をつないで海を眺めるシーンを連想しました。
中国の人って同性同士で手つないだり腕組んだり、よくするよなぁと、文化の違いを感じてしまいます。
  • posted by ふく*たま 
  • URL 
  • 2009.10/19 16:19分 
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ほんとだ~!
面白そうですね!(その2)

志怪小説、今年は結構読ませていただいたな~
と思ってたら、「今は怪談ブームです」
というのを新聞の書評で読みました。
今年に限らず、ずっと、な気がしますよね。
なのでやっぱり、禁止しなくちゃいけない程、
昔から皆読んでたんでしょうね~w

『長恨歌』は単純に、楊貴妃に捧げたものだ
と思ってましたが、
別の楊家の女性を思って書いたとは!
白居易もロマンチストですね!
恋してないと仮にでも恋の歌は描けない、
って事でしょうか。

>『上邪(天よ!)』
アハハ!ほんとうに、義兄弟間でもありそう…
”天地 合すれば”のフレーズは
天が男で地が女、と聞いた事あるので、
流石にアレかもしれませんが。
  • posted by 阿吉 
  • URL 
  • 2009.10/19 19:06分 
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ふく*たま さんへ 

> 面白そうですね!
でしょ。
ただし、これを読むと、本文のほうにも書いたように、ここで紹介されている志怪小説が読みたくなってきます。

> 確かに、その詩は、恋の歌のみならず、義兄弟の契りの文句としても通りそう(笑)
> 中国人は、感情表現が大きいですね。
『白髪三千丈』のお国柄ですものね。
『鹿鼎記』でも、結構華々しい誓いの言葉を並べてましたし。

> 中国の人って同性同士で手つないだり腕組んだり、よくするよなぁと、文化の違いを感じてしまいます。
そう、そう。あと、成人男性が一緒のベッドで寝たりね。
先日読んだ『きわめつき武侠小説指南』の中でも、岡崎先生が、そのまま訳すと断袖(ホモ)と間違えられるんじゃないかと云う表現があって困った、なんてことを書いておられました。
ホント、文化の違いですね~。
  • posted by rei★azumi 
  • URL 
  • 2009.10/20 18:44分 
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阿吉さんへ 

> ほんとだ~!
> 面白そうですね!(その2)
でしょ~。
ただし、これを読むと(以下略  d( ̄  ̄) ヾ(^o^;オイオイ・・・)

> 志怪小説、今年は結構読ませていただいたな~
> と思ってたら、「今は怪談ブームです」
> というのを新聞の書評で読みました。
> 今年に限らず、ずっと、な気がしますよね。
そうですね。ブームと云うより、もはや定着してしまっている感じ(笑)

> なのでやっぱり、禁止しなくちゃいけない程、
> 昔から皆読んでたんでしょうね~w
でしょうね~。
身近でも、怖い話は、好きな人のほうが苦手な人よりはるかに多いですし(^_^)

> 別の楊家の女性を思って書いたとは!
> 白居易もロマンチストですね!
本当に。
中国の場合は、詩人=ロマンチストとは行かないんでしょうが、
白居易の場合は、かなりなロマンチストのようですね。

> 恋してないと仮にでも恋の歌は描けない、
> って事でしょうか。
それはどうなんでしょう?
でも、作中の楊貴妃の表現が、実は思う女性を称えたものだと思うと……(^m^)

> アハハ!ほんとうに、義兄弟間でもありそう…
でしょ。義兄弟の契りの言葉って、結構華々しかったりしますから(笑)

> ”天地 合すれば”のフレーズは
> 天が男で地が女、と聞いた事あるので、
> 流石にアレかもしれませんが。
なるほど~。
そういえば先日『女帝ーエンペラー』のノベライズを借りてきたんですが、
そこで、これが結婚の誓いの言葉として使われていましたっけ。
  • posted by rei★azumi 
  • URL 
  • 2009.10/20 18:59分 
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本当だ!面白そうですね!!(その3)笑

怪奇現象って嫌いじゃないですし、
日本物っていうのは、大体
オチが見えてきたりしますが、

中国のそういうお話って
予想もつかないような展開もありそうで
面白そうですねぇ~。

最初の 母が大事にしていた人形が・・ってうのも
そのフレーズ?を見ただけで、ちょっと
読んでみたくなります。

やはり、それだけのお話を
まとめてあるという事は、一話一話が短いのでしょうか??

>『上邪(天よ!)』

は、第一印象では、
男性的なイメージが強いので、
男性が女性に送ったものだと
思いましたが。

役2名・・の中には、やはり楊過殿が?(笑)
  • posted by 氷無月  
  • URL 
  • 2009.10/21 20:56分 
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氷無月さんへ 

お忙しい中、コメントありがとうございます(^_^)

> 本当だ!面白そうですね!!(その3)笑
でしょ~(その3(笑)

ただし、中国の『志怪』ものって云うのは古典でもあるし、
原因不明、正体不明の、放り投げた終わり方をしているものも多いです。
これは、あらすじの紹介ですし、一節に2話とか3話とか紹介されてるので、特に短いですが、
原典のほうでも、数行のものがあったり~
でも、読み出すとクセになったりしますので、機会があったら、是非。

手近なところでは、角川のホラー文庫から出ている『中国怪談』など、いかがでしょう?

> >『上邪(天よ!)』
>
> は、第一印象では、
> 男性的なイメージが強いので、
> 男性が女性に送ったものだと
> 思いましたが。
漢詩の読み下し文だと、男性的なイメージが強くなりますよね。
私も、最初に読んだときは、男性が詠んだ詩だと思いました。

> 役2名・・の中には、やはり楊過殿が?(笑)
もちろんですとも!(笑)
  • posted by rei★azumi 
  • URL 
  • 2009.10/22 18:46分 
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rei★azumi

Author:rei★azumi
ヒト属ネコ科 コタツ猫亜種 読書ネコ
『神鵰侠侶』で金庸にハマった、金庸初心者。
とりあえず、金庸の小説全作品読破を目指すも、突如神鵰侠侶二次小説にハマる。
さて、この先、どうなりますことやら。

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