みだれ絵双紙金瓶梅

kinpeibai みだれ絵双紙 金瓶梅
                            (1995/03)
                           皆川 博子 岡田 嘉夫

いわゆる中国の四大奇書『西遊記』『三国志』『水滸伝』『金瓶梅』、で、特に『金瓶梅』あたりは、な~んとなく内容は知っていても、原書(と云っても、日本語訳版ですよ、無論)は読んだことがない、と云う人のほうが多いと思います。
と、かく云うワタクシも、二十代のころに気の迷いを起こして、山田風太郎先生の『妖説金瓶梅』なるものを読んだだけなんですが、
この皆川+岡田版『金瓶梅』、その山田版より荒唐無稽。
(山田風太郎先生って方が、大概スゴイ話をお書きになるんですけどね(^▽^;)

なんせ、当初は双子の兄妹の一方が纏足されるところから始まるんで、これは金蓮の幼い頃の話かな~と思っていたら、さにあらず。
さらに、金蓮の武大殺しから、武松への思い入れが描かれているので、そちら系統の情念の話かと思えば、またまたハズレ。
兄の敵を討つはずが、妙な女芸人の介入から、誤って西門家の番頭を殺害してしまった武松は、牢の中で浪子の燕青と知り合ったことから、早々と梁山泊入り  かと思えば、魯智深、孫二娘あたりとツルむのは当然としても、なぜか開封の巨大下水道に巣食う盗賊と仲間になったりと、話は妙な方向へ転がってゆくし、
ヒロインのはずの金蓮は、美食が過ぎて、巨大な肉布団になってしまうし(あたら美女が~(~_~;)
山田版『金瓶梅』のおかげで、楚楚とした薄幸の佳人のイメージを刷り込まれていた李瓶児は、とんだ悪女で、しかも、妙な成り行きから西門慶に殺されてしまうし、
西門家の手代の来旺(らい・おう)なる人物は、盗賊に襲われて、開封の下水道を逃げ惑っている内に、なぜか半漁人になってしまうし……
(当人の台詞を借りますと「鰓も鱗も生え地獄」だそうでして(^▽^;)

で、ここに、西門慶にたかりながら、意外に真っ当な感性の持ち主である応伯爵やら、
美貌に目をつけられて西門慶に買われた、スリの少年・琴童やら、
春梅(金蓮の小間使い)の双子の兄で、女装しての軽業の芸人を表の顔にしている、盗賊団の首領の花木蘭(!)やらが、ややこしく絡んできて、
秘めた情念だの、女の戦いだのは、とっくの昔にどこへやら~
どちらかといえば、活劇風に、話はコロコロと転げて行き…………
(しかも、終盤で燕青も西門慶も、とんでもない死に方をするし(~_~;)
最期には、金軍の開封への乱入で、話は大かたすとろふぃー(と、思わず平仮名)を迎えるのですが、

それにしても、なんというか、その……意外に面白かったです ヾ(^o^;オイオイ・・・

で、タイトルに『絵双紙』と銘打ってあるだけありまして、
各ページ毎に岡田嘉夫さんの華麗なイラストが入っておりまして、
モノが『金瓶梅』なだけに、ちょっと色っぽい~~と言いますか、むにゃむにゃ……な絵も多いんですが、
それよりは、3枚続き(というか6ページ続き)の、開封の市井の人たちを描いた絵が、それだけで独自の物語になってるようで、面白くも素晴らしかったです。
(別のページで、皆川・岡田両先生も、宋代の風俗になって登場しておられるページがありまして、ここにもニヤリ)

あと、武松が、『水滸伝・英雄譜』の楊志のような、物堅~いというか、コチコチの性格に描かれてたのも、大変に面白かったです。

これ、どうやら絶版らしいんですが、もし、地元の図書館などにありましたら、ご一読を~。


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コメント

『妖説金瓶梅』ならば、私も読みました~!

『金瓶梅』の存在は、つい数年前に、新聞のコラムで知り、
禁書だけど、実は庶民の生活が描かれて云々、
とあったので、まずは中公新書から出てた
解説書みたいなのを読みました。
で、原書については描写も少なく(^^;
どこが禁書なんだ?と思って次に手を出したのが、
山田風太郎先生でして。
その時も、かなり強烈な印象でしたが
(特に最後近く…)
その山田風太郎先生よりも凄いんですか…

岡田嘉夫さんの挿絵は私も好きなんです。
田辺聖子先生とよく組んでらっしゃいましたよね。
和物で源氏物語とか…

でも、いわゆる○○描写での荒唐無稽さよりも、
ストーリーの展開が興味深いですね!
半漁人、って…ファンタジーな要素も?

意外に『金瓶梅』って二次創作(?)しやすいんですかね~。
さすが、天下第1の奇書!ですね!

阿吉さんへ

おお! 読んでおられましたか『妖説金瓶梅』
本当に、あれは強烈~というか、読後感に何やら独特なものが残りますね。

ただ、こちらの『みだれ絵双紙~』を読んでしまうと、
さすがの山田風太郎先生も、『金瓶梅』と云う枠から飛び出しきれなかったか~、と云う感想を抱かされます。
『妖説~』の方は、あくまでも潘金蓮がヒロインでしたし、
描かれていたのも、女性の情念というか、西門慶に対する金蓮の愛情が引き起こす事件でしたものね。

ところが、この『みだえ絵双紙~』の脱線振りときたら、
殆ど、脱線を通り越して、スペースシャトルで外宇宙へ~
いや、そこまでは逸れてってないか(^▽^;)
とにかく、予想外の展開になっておりました。

>半漁人、って…ファンタジーな要素も?
う~ん……(-_-;)
ファンタジー……なのかなぁ?
幽霊も出てきたりしますし。
(でも、ホラー的要素はありませんが)

>岡田嘉夫さんの挿絵は私も好きなんです。
独特の魅力がありますものね。
あの、点描の細かさ、白と黒の作り出す魅力には、私もマイっております。

>意外に『金瓶梅』って二次創作(?)しやすいんですかね~。
>さすが、天下第1の奇書!ですね!
そうですね。
コミックでも、チラホラと描かれていますしね。
『本朝金瓶梅』とやら云うものも出てきているようですし。
なんていってたら、なにやら原典の方を読んでみたくなってきました。

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