蟹塚縁起

蟹塚縁起蟹塚縁起
(2003/02)
梨木 香歩

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さわさわ。さわさわさわ……。
ある夜、とうきちは、自分の家の床下殻響く音で目を覚ましました。
それは、無数の小さな沢蟹が、川から、とうきちの家の床下を抜けて、庄屋の邸へ向かう音でした。
とうきちは昼間、庄屋の息子が沢蟹たちの足をもいでいるのを見て、これを助けてやったのですが、代わりに畑仕事に使う牛を、取り上げられてしまっていたのでした。
蟹たちの向かった先は、その庄屋の屋敷で、牛をつないだ鎖を切ろうとして、次々と死んでゆく蟹たちの姿にとうきちは   

実はこれ、絵本と云うか、絵物語なんですが、読み応えは充分。
ありがちな蟹の恩返し話かと思わせて、実は、敵同士の武将であったとうきちと庄屋の前世も絡ませた、想いの昇華の物語。
で、短い物語な分、文章がより研ぎ澄まされてるんでしょうね。独特の静謐感とともに、しんと心に染みる、ちょっと切ないけれど、余韻深い話になっています。

あと、この沢蟹たちが昼の間に人間の女性に変身して、「おしかけ嫁でございます」と、とうきちのところへ恩返しに来るんですが、蟹歩きしかできなくて正体がバレてしまうという、ユーモラスなエピソードも入っていて、こういところも、大好きです。



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